トト丸のブログ
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ICU

多尿の患者を見たときの考え方

こんにちは、トト丸です!

最近Twitterも始めました!今まで何となく遠目に見てたけど、発信力を鍛えるためにうまく活用していきたいと思います。

さて、今回は多尿の患者を診るときの考え方を勉強しましょう!

 

  • 尿量低下はよくあるけど多尿のときどうすればいいの?
  • 多尿?尿がよく出てるのはいいことだ!…え?違うの?

という方は一読をお勧めします!

 

この記事を見れば以下のようなことが分かります。

多尿の定義がわかる
多尿の患者を見たときに出すべき検査がわかる

ではやっていきましょう!

 

多尿の定義

一般的に成人では1日3L以上の尿量があることを“多尿”と言います

区別しなくてはいけないのは、尿量が実際に増加していない“頻尿”や“夜間頻尿”です。

“頻尿”だとすると鑑別が全く変わってくるのでこの最初のステップを間違えないように注意しましょう。

 

多尿患者に対する大事な2つの質問

  • 水利尿か、溶質(浸透圧)利尿か?
  • 適切なものか、不適切なものか?

初動の考え方として上記2つは超大事です!

このポイントさえ押さえられれば大外れすることはないですし、病名がつかなくてもひとまず対応ができます。

水利尿には中枢性・腎性尿崩症、心因性多飲症があります。

溶質(浸透圧利尿)には高血糖、SGLT-2阻害薬、異化亢進による窒素負荷、ナトリウム負荷(塩利尿)、マンニトールなどがあります。

要は水みたいに薄い尿が出ているか、(水を引っ張るような)濃い尿が出ているかの違いです。

水利尿や浸透圧利尿は基本的には不適切な利尿ですが、塩利尿は適切な利尿であることが多いとされます。

 

鑑別に必要な検査は?

いよいよ鑑別に移っていきましょう。

ずばり必要な検査は以下の通りです!

尿検査(浸透圧、Na、K、UN、糖)
血液検査(浸透圧、クレアチニン、UN、Na、糖)

もちろん細かい診断にはもっと検査が必要ですが、ひとまず多尿の鑑別の初動としては最低限出しておきたい検査です。実際は採血するなら一般的な血算、生化学など一通り取ってしまうことが多いですけどね。尿の検査は普段出さないので別にオーダーが必要です。

鑑別のステップは?

実際にどのようにステップを踏んで鑑別していくか見ていきましょう。

①まずは明らかに浸透圧利尿の原因があるか確認

コントロールできていない高血糖や、マンニトールなど浸透圧利尿薬の使用がないかをチェックしましょう。

 

②本当に多尿であるかチェック

24時間の尿量で3L以上あるかチェックしましょう。

そうでなければ“多尿”ではなく、“頻尿”かもしれません。

同時に尿検査、血液検査を行います。検査項目は上記参照を。

 

③尿の浸透圧、1日総溶質排泄量をチェック

尿の浸透圧が血漿浸透圧(約300mOsm/L)を大きく下回るようなら水利尿と判断します。

実際は150mOsm/L未満のことが多いです。

尿の浸透圧が300mOsm/L以上であれば1日の総溶質排泄量が1000mOsm/day以上か計算します。1日の総溶質排泄量は尿浸透圧(mOsm/L)×尿量(L/day)で計算できます。

総溶質排泄量が1000mOsm/day以下の場合は水利尿と判断します。1000mOsm/L以上であれば溶質(浸透圧)利尿と判断します。

 

④尿の張度と浸透圧を比較して塩利尿か浸透圧利尿か判別する

最後はおまけです。ふーん、くらいで良いと思います。

尿の張度(Na+K)と尿浸透圧を比較することでより鑑別が深まります。

2×(尿Na+尿K)≒尿浸透圧の場合は塩利尿です。

腎不全でNa再吸収が障害されている場合、利尿薬によるNa利尿、Na負荷などが原因です。

2×(尿Na+尿K)<<尿浸透圧の場合は浸透圧利尿です。なんらかの浸透圧物質によって溶質利尿が起こっています。

糖尿病があれば尿糖による浸透圧利尿、それがなければ尿中UN(尿素窒素)を見てみます。

尿中UN>250mM/Lの場合は尿中の尿素窒素が増加している病態で、高カロリー輸液や腸管栄養、異化亢進などが原因です。

尿中UN<100mM/Lの場合はマンニトールやグリセオールなどの浸透圧利尿薬が原因です。

 

こちら参考にUptodateのalgorithmを日本語にしてみました。

 

以上です!今日はここまで!

最後の方は数字が多くて難しかったですねー😅

書いてて肩こりが…笑

尿崩症や、塩利尿って何?と思う方も多いと思うので各論に関してはいつかやろうと思います!

今回は自分自身の知識の整理、備忘録の意味合いが強い記事になってしまいましたが、誰かの参考になれば嬉しいです!ではまた!

 

参考:Evaluation of patients with polyuria. uptodate®︎

参考図書:より理解を深める!体液電解質異常と輸液