トト丸のブログ
医学知識の備忘録と、日常のおすすめ情報
ER

もうすぐ夏☀️ 熱中症に注意!! 原因と対処法を徹底解説!!

こんにちは!トト丸です🌻

天気が悪い日々が続いていてジメジメして嫌な感じですね💦

 

今日はこれからの時期、気を付けなくてはいけない熱中症について現役救急医の目線でお話しします!

  • 室内にいれば熱中症にならないでしょ?
  • 汗かくような無理しなきゃ大丈夫でしょ?
  • 外で熱中症の人を見た時の初期対応を知りたい!

上記のような方々は必見の内容になっています!

 

この記事を見たら以下のようなことがわかります。

・熱中症の起こる仕組みがわかる

・初期対応がわかる

さぁ早速やっていきましょう!

 

熱中症の疫学

熱中症は以下の表のように今頃の時期、つまり7月中旬からグッと増えてきます

引用:総務省消防庁HP(熱中症情報、過去の全国における熱中症傷病者救急搬送に関わる報道発表一覧 より)https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post1.html

 

ちなみに熱中症は単純な気温だけではなく湿度と輻射熱を合わせた暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)が大事、というのは知っていますか?

暑さ指数は熱中症を予防するために提案されたもので、環境省のHPに全国の暑さ指数について載っています。https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php

要するに、熱中症は気温を気にしてればいい、というものではない!ということです。

具体的には気温より湿度輻射熱(地面・建物など周囲から出ている熱)が大事なんです!

暑さ指数は以下のような式で概算されます。

引用:環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数について

なんと気温より湿度や輻射熱の方が原因としては高い因子になっています。どうして湿度や輻射熱が問題か、後述する熱中症の原因のところで詳しく見ていきましょう!

 

熱中症に特に注意が必要なのは、思春期前の小児高齢者ですが、どの年代も起こりうる病気です。「まさか自分が…😰」なんて救急車で運ばれてくることもとても多いです。

ちなみに小児と高齢者はどちらも体温調節機能が成人より弱く熱中症になりやすいのです。

高齢者は薬(β遮断薬、抗コリン薬など)による影響があったり、暑くても動けない、など様々な因子が影響します。

 

なぜ熱中症が起きるのか?4つの体温調節の仕組みとは?

体温調節には大きく分けて「行動性体温調節」「自律性体温調節」の2つがあります。

暑い環境になったら人々は自然と薄着をする、団扇や扇風機を使う、日陰に行くなど行動をしますよね?

そうやって自然と暑い環境で過ごすために行動をすることをで体温調節を行います。

これを「行動性体温調節」と言います。

一方で行動を起こさなくても、汗をかいたり、末梢血管を拡張させたりして身体が勝手に温度調整を行うことを「自立性体温調節」と言います。

これら2つが正常に働かなくなった時、体温が不適切に上昇する、つまり熱中症になるんです。

 

身体から熱を出すためには4つの仕組みがあると言われています。

輻射(放射)

コレが最も主要な方法で、体表面から赤外線の形で熱を放散します。

ローストビーフを作る時に焼いた後にアルミホイルに包みますよね?あればアルミホイルで輻射熱を反射して熱を保持してじっくり火を通しているんです。

他には寒くなった時に手足を縮こめるのは、体表面積を小さくして輻射による放散を防ごうとしているためです。

対流

空気への熱伝導で熱が放散されます。

風の流れがあるといくらか涼しく感じますよね?風に乗って自分の熱が放散してくれるからです。

蒸散(蒸発)

水が蒸発する際に気化熱として放熱されるものです。

暑い環境下で汗をかいて、それが蒸発することで熱が放散されます。

高温多湿の環境下では、水分が蒸発しにくいのでこの蒸散がうまく働かないため熱中症を起こしやすくなります。暑さ指数で湿度が重要であることはこれが理由です。

伝導

直接触れているものに熱が放散されていくことをいいます。

雨で濡れた服を着てるとどんどん体温が奪われますよね?そのため雨に濡れた後は着替えた方が身体が冷えないんです。

犬が腹這いになって床にべったり伏せてるのは床に熱を伝導させているんですね。

 

なぜ熱中症が起きるのか?

ではなぜ熱中症が起きてしまうのか、上記の4つの仕組みを見ながら考えてみましょう。

熱中症は「暑い環境下で体温調整がうまく機能していない時に起こる」病気です。

逆を言えばこれらの体温調整機能がうまく機能させれば熱中症にはならないのです。

 

輻射→厚着をして体表面からの放散ができない

対流→風通しの悪いところで作業している

蒸散→脱水で汗をかけない、高湿度の環境で水分が蒸発しにくい、発汗機能が低下している

伝導→周りに自分の体温より低いものがない、手袋や靴などで直接触れることができない

 

https://www.kango-roo.com/learning/2467/より引用

 

熱中症の初期対応

熱中症の原因を理解したところで、次に初期治療に関してお話しします。

病院前でできることのみお話ししますので、ぜひ覚えておきましょう!

先ほど話をした熱放散の4つの機序をそれぞれ行えば、体温は下がってくるはずですので、それらに沿って説明していきましょう。

輻射(放射)

熱の放射を促すために服を脱がせます。

対流

換気をする、もしくは団扇やあったら扇風機など使えば風の流れができてより効果的です。

 

蒸散(蒸発)

ここが最も重要です!

ポイントは「ぬるま湯(40℃くらい)」を「霧吹き」でかけることです!

なぜ冷水ではなく、ぬるま湯かというと、冷水だと皮膚が冷えてしまい血管収縮が起きたりひどいとシバリング(震え熱産生とも言います)が起きてしまうので逆効果となってしまいます。

 

伝導

直接冷たいものに触れることで熱を逃すことができるので、ペットボトルや氷嚢を首・脇・鼠径部に当てるとより良いです。

 

 

まとめると以下のようになります!

・高温環境から涼しいところに移動する
・服を脱がせて団扇であおぐ
・(用意できれば)ぬるま湯を霧吹きでかける
・冷たいものがあれば身体に当てる
・水分補給

 

今回は以上になります。どうでしたか?

少し詳しく、熱放散の仕組みを学ぶことでより正確に熱中症の対応ができるようになるのではと思い書かせてもらいました。

繰り返しになりますが、熱中症は「まさか自分が…😰」ということが本当に多いので、まずは予防が大事!その後は初期対応です!正しい知識も持って、初期対応がキチンとできればほとんど助かる病気です。みんなでこの暑い夏を乗り越えていきましょう🍧☀️

ではまた!