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マムシに咬まれたらどうする?!具体的な対処法を解説!

こんにちは!トト丸です。

涼しくなってきた時期ですが、こんな時期はキャンプ場に行くのもいいですね⛺️

そこで今日は、キャンプ場などに潜む怖いマムシに関してです🐍

医療者の立場から毒蛇に咬まれたときどうしたらいいのか、まとめてみましたので是非参考にしてください!😄

マムシはどこにいるのか?

北海道から九州まで全国にいます。

一方で沖縄はハブが有名ですね。

正式には日本にいるニホンマムシといいます。

森林や藪に潜んで、水場にも出現するためキャンプ場や山間部の田畑などにいることが多いようです。

私自身経験したマムシ咬傷は農家の方で田んぼしている時だったり、キャンプ中に咬まれた、なんてこともありました。

マムシはどんな特徴がある?

マムシは代表的な毒蛇の一種です🐍

春から秋まで活動して冬は冬眠しています。

夏に特に活発になるので要注意です☀️よくあるのはキャンプ場やハイキングで咬まれたりすることがあります。

体調は50~60cmくらいと一般的にイメージする蛇のサイズ感ではないでしょうか。

色調は様々で茶色から褐色が多いようですが、色だけでは鑑別できません。

 

咬み傷の違い

マムシは毒牙が前に2本出ていますので、ガブっと咬まれたら2つの咬まれた跡が残ります。

それと比べて無毒蛇(アオダイショウなど)は顎に沿って細かい歯があるため細かい跡が残ります

もちろん咬まれた状況で、片方の牙だけ刺されば1つの傷しか残りませんし、咄嗟に咬まれた手足を引けば、引っ掻き傷のような形で残るかもしれません。咬み傷だけで見分けるのは難しいかもしれませんね。

ちなみに咬まれても「チクッ」とするくらいで、咬んだマムシがサッといなくなってしまうと「なんか虫に刺されたかな🤔」くらいに思ってしまって、気付いたらパンパンに四肢が腫れてしまったなんてこともあります!💦

後半で話が出ますが、マムシの治療は時間との勝負なので、気づいた頃には広がっていて手遅れ、なんてことも…怖いですね😢

どんな症状が出る?

受傷後20~30分で激しい疼痛と腫脹が出現します。

1時間程度で水泡(水膨れ)を形成して、リンパ節の腫脹と圧痛を来します。

浮腫は急速に進行して数時間以内に咬まれた手足全体が腫れるほどです。

逆に1時間も経過して症状がない場合はドライバイト(dry bite)と言って咬まれただけで毒が入っていない可能性があります。

 

マムシの毒は出血毒に分類されて、咬まれたところ以上に皮下出血が広がり、最悪の場合、全身性に出血をきたしてしまいます。血小板凝集作用があり急激に血小板が低下することも影響を及ぼします。

まれに神経毒による複視(物が二重に見える)など症状が出てしまうこともあります。

年間2000-3000人が受傷し、死亡率は0.1%前後です。

腫れは2-3日前後で消退していくことが多いですが、元に戻るにはもっと時間がかかります。

まずすべきことは?現場での応急処置

①咬まれた場所より中枢側を軽く縛る

毒素が中枢に行かないように軽く縛りましょう。キツすぎて痛かったり、手の色が悪くなるほど締めてしまうと逆に良くないので注意が必要です。

②毒素を吸引(口で吸うか、吸引器を使う)

専用の機材があれば使用します。

なければ口で吸うこともよく書かれていますが、素人ではやめておいた方がいいでしょう。口に傷があるとそこから毒素が入ってしまうことがあるので、無理のない範囲で行います。

③水があれば血を絞り出して傷口を洗う

助けを呼んだり病院に行くまでの期間、しっかり水で傷口を洗います。

その際に痛いですが傷口から血を絞り出して少しでも毒を排出するようにしましょう。

④すぐに病院に向かう!

治療法でも述べますが、血清の治療はなるべく早いほうが良いです。

また腫脹が強い場合などは入院が必要になる可能性があります。

⑤指輪や時計を外す

治療法とは別ですが、咬まれた手に指輪や腕時計をしていたら必ず外してください!かなり腫れるので後で外すことができなくなります。最悪の場合、指輪など切断になりますし、もっと最悪の場合は指輪の締め付けで指の血流が悪くなってしまいます。

 

Grade分類

現在用いられている重症度分類は腫脹の程度のみであり、全身状態はあまり加味されていません。ただ治療方法の決定や経過観察のために必要な表現なので医療者は覚えておいてもいいと思います。

マムシ毒が入るとみるみるうちに腫れていくので、どの時点でどこまで腫れているか、マーキングして経過を見ていくことが必要になります。

GradeⅠ:咬まれた局所の腫脹

GradeⅡ:手関節、足関節までの腫脹

GradeⅢ:肘・膝関節までの腫脹

GradeⅣ:1肢全体に及ぶ腫脹

GradeⅤ:体幹に及ぶ腫脹、全身症状を伴うもの

 

治療は?

①局所の傷の治療

洗浄、切開、吸引(タイミングが早ければ)を行います。

腫脹が強い場合、コンパートメント症候群を疑う所見がある場合は減張切開という手術が必要になることも。

②抗生剤投与、破傷風トキソイド投与

予防的に抗生剤投与を行います。

③マムシ抗毒素血清の投与

受傷から早いほど有効な可能性があります。理想は6時間以内ですが、最低でも24時間以内が投与するタイミングです。

ただマムシ抗毒素血清はどこの病院でも置いてあるものではないので、備蓄のある病院を探さなくてはいけないかもしれません。

また点滴で投与しますが、アナフィラキシーや血清病の発生率が高いためアナフィラキシーに即座に対応できる状況で投与する必要があります。

④セファランチン

マムシ咬傷の治療として抗毒素血清と並んで称されることが多い薬剤ですが、明確に効果があるという結果が得られた研究がなく、使用に関しては個々人の判断によることが多いです。

⑤輸液

マムシ毒による血管透過性亢進で血圧が低下したり組織血流が落ちるので、状態に応じて補液を行います。また毒素による横紋筋融解症、腎障害をきたすのでそれに対しても適切に輸液をする必要があります。

 

一般の方向けまとめ

何か分からないけど、咬まれて30分以内に腫れてきたらマムシの可能性があるので必ず医療機関を受診してください!

一晩我慢したら腕一本パンパンに腫れてしまうことがあります!

侮るなかれ!蛇咬傷!🐍

医療者向けまとめ

患者が「何かに」咬まれて病院を受診することは時々あります。

咬まれた時の状況や咬み傷、咬まれた後の症状からマムシを想定しなくてはいけません。

みるみるうちに腫れが広がってくるので、かなり重篤な印象を受けるかと思います。他にはこのような咬傷はあまり見ないので診断自体はそこまで難しくないかもしれません。

大事なのは「入院が原則」ということです。

抗毒素血清や抗生剤、局所創部の治療をしながら腫脹の広がりをマーキングして経過観察しましょう。採血で腎障害や横紋筋融解症、血小板など見ることをお忘れなく。

 

以上です!

怖い話ばかりですが、決して頻度の高いものではないと思います。もしもの時のために頭の片隅に入れておきましょう😄

キャンプの際など気をつけて楽しみましょうね❗️

ちなみに「毒蛇に咬まれたかも!」という方は毒蛇110番という24時間受付の相談窓口があるようです!詳細はジャパン・スネークセンターのHPをどうぞ👍

ジャパン・スネークセンター

ではまたお会いしましょう!🐍