こんにちは!トト丸です。
今回は「気管挿管の適応」についての話です。
- 挿管っていつ踏み切ったらいいかわからない…
- 1人だとその判断に自信がない…
そんな方々の悩みが解決できれば幸いです!
- この記事を見れば以下のようなことがわかります。
- 気管挿管の適応がわかる
- 気管挿管のタイミングがわかる
- 抜管のタイミングもわかる
- では1つずつやっていきましょう!
挿管の適応
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- 個人的にはMOVESと覚えるのがおすすめです。
この覚え方は「人工呼吸器管理レジデントマニュアル」に書いてあります。
自分も実施にMOVESで覚えて、MOVESで教えています。
Mental status 意識障害
基本的にはGCS≦8で挿管適応です。
なぜ意識障害の時に挿管するかというと、重度の意識障害患者は舌根沈下したり、嘔吐後窒息するリスクがあるからです。例えば薬物加療内服患者や脳出血・脳梗塞、重症頭部外傷などが対象です。
Maintain airway 気道確保
こちらはイメージしやすいのではないかと思います。例えば急性喉頭蓋炎で気道閉塞しそうな時などです。気道確保目的での挿管の際は緊急度が高いので必ず上級医など気道管理に長けた人を召集しましょう。
Oxygenation 低酸素
こちらも分かりやすいですね、通常の酸素療法(酸素マスク)で改善がない重篤な低酸素血症がある場合は挿管です。リザーバーマスク10L投与していてもSpO2<90%の重症肺炎、心不全などです。心不全に関しては病態的に非侵襲的人工呼吸(NIV)が病態的に良い適応ですが、奏功しない場合は迷わず挿管しましょう。
Ventilation 換気障害
人工呼吸器の役割の一つとして換気補助があります。極論患者が全く呼吸をしていなくても呼吸をサポートすることができます。例えば麻薬中毒で呼吸抑制が強く出ている患者、高位脊髄損傷やギランバレー症候群で呼吸筋麻痺に至ってしまった患者が対象です。低換気が一時的なものであれば改善を待てば良いですが、恒久的に換気不全になってしまっている場合は離脱は難しいかもしれません。
Expectoration 喀痰排泄の問題
痰の排泄が困難な場合、誤嚥性肺炎が必発なのでこの場合も挿管適応となります。
Expected course 今後悪化が予測される経過
これが一番難しいかもしれません。「今は大丈夫だけど、今後悪くなりそうだな…」ということです。
例えば以下のような場合です。
「代謝性アシドーシス(DKA)などで代償性頻呼吸になっている状態で一晩過ごせなそうな高齢患者」
若年者の場合は頻呼吸に耐えうる体力があるかもしれませんが、高齢者はそうはいきません。今は大丈夫かもしれませんが、頻呼吸が続くといずれ呼吸筋疲労で換気状態が悪化し、CO2が溜まり、CO2ナルコーシスで意識障害をきたして一気にCPAとなってしまいます。こればっかりは臨床力を磨いていくしかないのかなと思います。
Shock ショック(相対適応)
ショックの時に何故挿管するんでしょうか?血圧が低い時にあえて鎮静薬を使って挿管をしますか?それでも挿管するんです!
最初の記事(血圧が低い!! ショックの初期対応どうする?! ①)でもお伝えしましたが、ショック=血圧が低いというわけではなく、「酸素の需要供給バランスが崩れている」状態でしたね。
ショックというのは酸素の需要が高まっている状態です。身体が酸素を欲していますので頑張って酸素を取り込もうと頻呼吸・大呼吸になります。ただ、頻呼吸になると呼吸筋をめちゃくちゃ使いますので呼吸筋自体の酸素消費量が増加します。さらに頻呼吸を長時間続けることはかなり苦しいです、実際に自分で30回/分の頻呼吸をしてみると分かります。2秒に1回呼吸するって、大変ですよね?これを一晩頑張って、と言われたら辛くないですか?
人工呼吸器のサポートを受けることで安定した酸素供給を得ることができて、さらに呼吸筋の肩代わりをすることで酸素消費を抑えられる、という2つの面でメリットがあるわけです。なのでショックの時に挿管が必要なんです。
抜管のタイミングとは?
今まで挿管適応の話をしてきましたが、それとは切っても切れない話なのが「抜管のタイミング」です。
ものすごく端的に言ってしまうと「抜管のタイミングは、挿管の適応が改善された時」です。例は以下の感じです。
- 薬物過量内服による意識障害で挿管された場合は、意識が回復したら抜管
- 敗血症性ショックで挿管したら、ショックが改善したら抜管
当たり前といえば当たり前なんですが、意外に意識されていないことかなと思います。挿管した時に抜管のことも視野に入れている医者はあまりいないです。そんな余裕ないですよね?でも一呼吸おいたら是非考えてみましょう。今挿管した患者さんは、どうなったら、何日後くらいに、抜管できるのか。先が見えれば重症患者の管理も良いものになると思いますよ。
今回は以上になります。どうでしたか?自信を持って挿管、抜管の意思決定をできそうですか?少しでも参考になれば幸いです。
ではまた!