まだまだ寒い日が続きますね🥶
今年は大雪が降ったところも多く大変な冬になっているのではないでしょうか🌨
今回は冬に救急搬送されることが多い「低体温症」についてお話しします🚑
低体温症とは
深部体温(膀胱温や直腸温)が35℃以下に低下した状態のこと
この記事の概要です。こんなことが勉強できます👍
・そもそも温度調整ってどうしてるの?
・低体温は何故起きるの?
・どんな症状がでるの?
・治療はどうすればいいの?
では一緒に勉強していきましょう!
そもそも温度調整ってどうしてるの?
ヒトの体温は脳の視床下部にある体温中枢で一定になるように制御されています。
つまり体温中枢が「寒い」という信号を感知したら、人間は意識的にも無意識的にも体温を上げようとします。
具体的には
- 温かい室内に移動する
- 上着を羽織る
- 震え(シバリング)を起こして熱産生する などです。
こういった調整機構が働くので、人間は滅多なことでは低体温症にはなりません。
では何故低体温症が起きてしまうのか?それは次の項で説明します。
低体温は何故起きるの?
最も多く経験するのは寒冷環境による影響です。
つまり超簡単に言うと「寒いところにいたから体温が下がった」と言うことです。
え?そんなの雪山とかの話じゃない?
と思う方も多いでしょう。よく聞く「寝たら死ぬぞ!」的なアレですね🙄
しかし実際は街中でも、家の中でもどこでも起こるんです😱
それが何故起こるかと言うと以下のように4つ原因が挙げられます。
- 体温調整がうまくできない場合
- 内科的疾患が隠れている場合
- 重篤な感染症
- その他動けない原因が発生した場合
一つずつ解説していきますね✍️
①体温調整がうまくできない場合
これは主に高齢者や子供が該当します。
高齢者はそもそも身体が動かせなくて温かいところに行けない、温度感知能力の低下、様々な薬の影響などもあります。
子供も皮膚が薄く、温度調整が未熟なため大人と同じ感覚でいると知らぬ間に低体温になっていることがあります。
②内科的疾患が隠れている時
身体の中で熱産生するにはホルモンが大きく関わります。そのホルモン機能が低下した病気を持っている方は低体温になりやすいのです。
具体的には甲状腺機能低下症、副腎不全などが挙げられます。
③重篤な感染症
感染症というと発熱するイメージですが、重篤になると逆に低体温を起こすことがあります。
④その他動けない原因が発生したとき
寒冷環境にいても動けなくなってしまっている場合です。例えばアルコールで酩酊状態、外傷、脳卒中、貧血など原因は多岐に渡ります。
低体温はどんな症状が出るの?
重症度に応じて説明していこうと思います。
・軽度低体温(深部体温 32~35℃)
シバリング(震え熱産生)、悪寒、意識混迷、無気力感
・中等度低体温(深部体温 28~32℃)
シバリングの消失、意識低下、血圧測定困難、硬直
徐脈、不整脈
・高度低体温(深部体温28℃)
不整脈のリスクがさらに上昇、意識消失、代謝率の低下
また病院前(プレホスピタルと言います)、例えば雪山などで体温が測れない状況では症状で体温を推定する評価方法があります。
それは“スイスシステム”と呼ばれているものです
スイスシステム
Hypothermia(HT)ステージ | 臨床評価 | 推定深部体温 |
HT Ⅰ | 意識清明、シバリングあり | 32~35℃ |
HT Ⅱ | 意識朦朧、シバリングなし | 28~32℃ |
HT Ⅲ | 意識障害 | 24~28℃ |
HT Ⅳ | 見かけ上心停止状態 | 13.7~24℃ |
HT Ⅴ | 不可逆な低体温による死亡 | 9~13.7℃ |
シバリングがない、意識が朦朧としているなどはかなり危険な状態ということが分かりますね!
治療はどうすればいいの?
基本的には低体温で症状が出ている場合は必ず病院に行ってください!
治療はシンプルに復温です。温めてあげてください😊
復温方法は様々ですが、大きく分けて3段階に分けられます。
①保温法 Passive rewarming
- 温かい環境に移動
- 湿った衣服を脱がせる
- 毛布をかける
②体表面加温法 Active external rewarming
- 電気毛布や温風ブランケットをかける
- 温水につける
③体腔内加温法 Active core rewarming
- 加温した輸液、体腔内の温水洗浄
- 人工透析、体外循環装置
まとめ
日本に住んでいる限りどの地方にいても低体温になる可能性があると思います。沖縄あたりは分かりませんが…(笑)
とにかく雪山や外でなくても、重篤な低体温症は起こりうることを知っておいていただければと思います❄️
暖房器具を駆使して寒い冬を乗り切りましょう❗️
ではまた✋